鍵山優真選手は、2003年生まれの日本男子フィギュアスケート界を代表する存在です。
2022年北京五輪で銀メダルを獲得し、一躍世界のトップに躍り出ましたが、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
北京五輪後の怪我、そこからの復活、そしてコーチ体制の変化を経て、現在はミラノ五輪を見据えた日本男子の中心選手として“総合力の高いオールラウンダー”へと進化を続けています。
本記事では、簡単なプロフィールから北京五輪までの歩み、
五輪後の怪我と復活、コーチ体制の変化による進化、
そしてミラノ五輪を見据えた現在地までを、
「なぜ鍵山優真は完成度を高め続けているのか」という視点で整理します。
鍵山優真選手の簡単な紹介
鍵山優真選手は2003年5月5日生まれ、神奈川県出身。所属はオリエンタルバイオ/中京大学です。
身長は約160cmと小柄ながら、氷上ではそれを感じさせない推進力と安定感が持ち味。
父は元五輪代表の鍵山正和氏で、現在も技術面のメインコーチを務めています。
10代の頃からジュニアで頭角を現し、「日本男子の次世代エース」として期待を背負いながら成長してきました。
北京五輪までの歩み|一気に世界トップへ
鍵山選手の転機は、2019–20シーズン以降の急成長です。
ジュニアからシニアへ上がると、4回転ジャンプを次々と成功させ、短期間で世界トップ争いに食い込みました。
そして迎えた2022年の北京五輪。初出場ながら安定した演技を重ね、男子シングルで銀メダルを獲得。
この時点で彼は「将来有望株」ではなく、「世界の頂点を争う選手」として認識されるようになります。
北京五輪後|怪我、そしてコストナー加入
北京五輪後、鍵山選手は大きな試練に直面します。2022年夏ごろ、左足首の疲労骨折寸前の状態となり、ジャンプ練習がほぼできない期間が続きました。
2022–23シーズンはグランプリシリーズを全休し、「我慢のシーズン」を送ることになります。
それでも全日本選手権には出場し、難度を落とした構成で“今できる精一杯”を見せました。この経験が、後の意識改革につながります。
この時期に大きかったのが、カロリーナ・コストナーのコーチ加入です。カロリーナ・コストナーは、世界選手権5度優勝・ソチ五輪銅メダルの実績を持つ、イタリアの伝説的フィギュアスケーターです。
父・正和コーチが技術を担当し、コストナーが表現力や演技全体の設計を担う「二本柱」体制が確立。
ジャンプ中心だった鍵山選手のスケートは、音楽表現や間の使い方が際立つ、より立体的なものへと進化していきました。
鍵山優真の強み|技術×安定感×スケーティング
鍵山選手の最大の強みは、高難度を安定して決める技術力です。4回転トウループ、サルコウ、ループ、そして3回転アクセルまで幅広く武器を持ち、着氷後の流れが非常に美しいと言えます。
さらに、スピード感とエッジコントロールに優れたスケーティングは世界トップクラス。ジャンプ、ステップ、スピンをシームレスにつなぐ“職人気質”の滑りが、構成点(PCS)を押し上げています。
イリア・マリニンのような超高難度型とは異なり、
鍵山選手は「失点を最小限に抑えながら得点を積み上げる」タイプ。
この総合力の高さが、大崩れしにくい強さにつながっています。
怪我を経験したことで、無理に難度を上げず「確実性を積み重ねる」戦略性とメンタルの強さも身につけました。
プライベートな一面
鍵山選手はプライベートを多く語らないタイプですが、いくつか知られている一面があります。
趣味は風景写真を撮ること、音楽を聴くこと。
好きなキャラクターはスヌーピーで、試合後に投げ込まれるぬいぐるみを嬉しそうに受け取る姿も印象的です。
また、縄跳びが得意で4重跳びまで可能という意外な特技も。右利きですが、スケート靴は必ず左足から履くという独特のルーティンを持っています。
今シーズン(2025–26)の見どころ
今シーズンの鍵山選手は、SPとFSで明確に異なる表情を見せています。
SPはスティービー・ワンダー「I Wish」をベースにした明るくリズミカルな構成で、軽やかさと楽しさを前面に。
一方、FSは「トゥーランドット」を基にした重厚なプログラムで、王道のドラマ性と覚悟を表現しています。
この対比によって、技術・表現の両面が完成形に近づいていることがはっきりと伝わります。
岡慎之助選手との関係
鍵山優真選手と体操の岡慎之助選手は、星槎国際高等学校横浜の同級生です。
岡選手がまだサインを持っていなかった頃、鍵山選手が一緒にサインを考えたというエピソードは有名で、面倒見の良さがうかがえます。
異なる競技ながら、互いに刺激し合う“同級生エース”として、ファンからも親しまれています。
今シーズンの鍵山優真をどう見るか
昨シーズンは、イリア・マリニンの存在を強く意識しすぎたことや、名実ともに日本の一番手となった重圧から、やや苦しんでいる印象もありました。
しかし今シーズンは、そうした外的要因に振り回されることなく、自身の強みと向き合いながら本来の良さを取り戻しつつあります。
ミラノ・コルティナ五輪を見据え、4回転フリップの投入も予定されており、技術・表現・安定感のすべてを兼ね備えた“完成形の鍵山優真”が、いよいよ世界の頂点に挑む段階に来ていると言えるでしょう。
まとめ
北京五輪の勢いだけで終わらず、怪我という挫折を経て一回り成長した鍵山優真選手。
フィギュアスケートを「完成度」で見るなら、
今の鍵山優真は、最も安心して見守れる日本男子エースと言える存在です。
技術力に加え、表現力と精神的な成熟を手にした今、ミラノ五輪でのメダルを狙う日本男子のエースとして、そして五輪メダル候補として、その進化から目が離せません。


